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執筆者の写真坂本 慎一

『青天を衝け』第13回

渋沢栄一が幕末の京都にやってきました。のちの回想によると、京都で最初に泊まっていた宿は「三条小橋脇の茶屋久四郎の家」「茶久という高等旅館」と述べています。まだ金銭感覚が分からず、今で言えば5つ星クラスのホテルに泊まっていて、あっというまに所持金がなくなってしまったということです。ドラマでも、この辺りの事情について簡単に描写がありました。

「栄一は藍玉の商売をしていたので金銭感覚に優れており、後に大実業家になった」と、しばしば言われます。しかし、旅館の相場まで知っていたわけではありません。むしろこの京都時代の初期は、裕福な家に育った世間知らずの青年の姿をそのまま露呈しています。やはり大実業家になったのは、その後の奮闘努力が大きかったのでしょう。

栄一たちは京都に来て、倒幕の志士と思える人達と多数面会したと述べています。西郷隆盛とも、相国寺で面会しました。しかしこの時点では、京都で倒幕に向けた大きな動きはないと感じたそうです。ドラマでもその描写がありました。そして、栄一たちが京都に来た翌年に池田屋事件が起きます。倒幕の志士たちが多数犠牲になった名高い事件であり、これによって明治維新が2年は遅れたという人もいます。

近年では、池田屋に集まっていた人たちは、本当に何か事を起こそうとしていたのか、証拠が乏しいという主張もあります。新選組が自分たちの存在を示そうとして冤罪事件を起こし、暴走したのではないかというのです。「倒幕に向けた具体的な動きはなかった」と述べる栄一の回顧談は、この「新選組暴走説」を補強する形になっているのは興味深いところです。

来週には、栄一は一橋家に仕官して正式に侍になります。このドラマの第一回の冒頭のシーン、つまり栄一が仕官を申し出るシーンは来週に放送されるでしょう。同じシーンをまた放送するのか、それとも少し違うのか、そこも楽しみにしています。あるいは間違い探しのように、微妙に持っている道具だけ違うとか、後ろに映っている木の枝が違うとか、喜作のもみあげの長さだけ違うとか・・・いや、NHKさんに限ってそれはないでしょう。

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