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  • 執筆者の写真坂本 慎一

『青天を衝け』第10回

更新日:2021年6月21日

ドラマでは渋沢栄一が「草莽の志士」になると宣言しました。『渋沢栄一一日一訓』から一言引きます。

自分の利益を第二に置き、まず国家や社会の公益を考え、道理の命ずるままに働くのが志士たる人の務めである。(76ページ)

渋沢栄一は実業家として大成した後も、自分のことを「志士」と言っていました。「志士」こそ栄一の精神性を表現するキーワードです。新一万円札には「志士・渋沢栄一」と書いて欲しいです。3年後には5万円のことを「志士5枚」と呼んでください。

これから栄一たちは、いよいよテロリストになっていきます。栄一は、明け透けに言ってしまえば、何百人と殺そうとした指名手配犯でした。若き栄一のテロ計画をわれわれが知りえるのは、後年の栄一が、隠さずに話しているからです。社会的にも地位のある人が、よくもまア暴露したなと思います。

私が見るところ、栄一は、一方で自分を「志士」だとは言いつつ、一方では本気で自分のことを、そんなに偉い人だとは思っていなかったようです。これは大倉喜八郎や松下幸之助など、実業家に共通した特徴なのかもしれません。

栄一が日本の歴史上の人物で一番尊敬する人は、徳川家康です。家康に比べれば、自分など小さい人物だと思っていたのでしょう。北大路欣也さんが「そうです。栄一がもっとも尊敬していた人物こそ、この私」と、いつか言わないか、心待ちにしています。

また、ドラマでは幕府と朝廷を結びつける「公武合体」が描かれていました。朝廷の威信を借りる幕府のこの方策は、逆に「幕府なんて要らないじゃない」とみんなに気づかせる結果となってしまいます。糖質オフのためのシャリ抜き寿司なら、最初から刺身だけでいいじゃない。メン抜きラーメンって、もはやラーメンじゃないでしょ。幕府抜きの朝廷だけでいいじゃない。そういう展開になっていきます。しかし、その糖質、ではなく、幕府側にやがて栄一が入ってしまうのはドラマの様で本当の話なのだから、面白いものです。

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